9 多摩湖の堤体強化

東京都水道局では、阪神淡路大震災を教訓に地震に強い水道づくりをめざして施設の耐震強化を進めています。多摩湖の堤体は、大地震が発生した場合、変形したり内部が損傷したりすることがわかりました。

そこで、平成10(1998)年から平成14(2002)年にかけて実施した山口貯水池(狭山湖)の堤体強化工事に引き続き、平成15(2003)年から村山下貯水池(多摩湖)でも工事を行うことになりました。

9−1 堤体強化の方法

堤体強化工事は、既存の堤体の耐弾層と抑え盛土を撤去し、その部分に新たに盛土を行って堤体の耐震性を高めます。さらに、下流側には、ドレーン層(排水層)を設けて、貯水池から浸透してくる水を排水して、堤体の安定性を高めるとのことです。

現在の堤体

*1 心壁:水を下流側に通さないように造られた壁
*2 さや土:心壁を保護するための盛土
*3 耐弾層:戦争中の爆撃から堤体を守るために設置されたコンクリートの覆い
*4 抑え盛土:さや土を抑えるために盛った土

強化後の堤体

*5 セメント安定処理土:セメントを混ぜて強くした土
*6 補強盛土:ダムを強化するために新たに盛る土
*7 ドレーン層:貯水池から浸透してくる水を排水して堤体内の水位を低く保つための排水層

 

9−2 工事範囲

工事中は、堤体の天端道路が通行できなくなり、都立狭山公園の利用も制限されます。

 

 

 9−3 工事期間

堤体強化の工事期間は、平成15(2003)年6月から平成21(2009)年3月までの6年間とのことです。工事は、耐弾層撤去工事(平成15〜16年)、掘削工事(平成16〜17年)、盛立工事(平成17〜20年)、周辺環境整備工事(平成20〜21年)の順に進むそうです。

なお、村山下貯水池(多摩湖)の堤体強化工事が終了すると、引き続き村山上貯水池(多摩湖)の工事も計画されましたが、上貯水池の堤体は現在のままでも安全であることがわかり、万一決壊しても水を下貯水池の堤体で受け止められることなどから、上貯水池の堤体強化工事は予定していないそうです。

堰堤入口(南側)交番前 狭山公園入口(南側)
堤体強化工事のため水が抜かれた多摩湖 湖底の宅部川

 

9−4 堤体強化工事見学会

平成17(2005)年11月12・13日、東京都水道局は、地元住民に対し日頃の工事への協力に感謝して、「村山下貯水池(多摩湖)堤体強化工事見学会」を開催しました。工事現場の見学を通じ工事内容を知ってもらい、あわせて震災対策や環境対策への取組み、水源地の重要性などについても理解してもらうためのものです。会場は、堤体強化工事紹介コーナー、盛立作業実演コーナー、親柱・高欄展示コーナーなどにわかれ、取水塔も間近に見ることができました。

会場入口(2005.11.12) 盛立作業(2005.11.12)
堤体強化工事(2005.11.12) 堤体強化工事(2005.11.12)
堤体強化工事(2006.09.04) 堤体強化工事(2006.12.18)
堤体強化工事(2007.02.16) 堤体強化工事(2007.04.05)
堤体強化工事(2007.11.18) 取水塔補強工事(2007.11.19)
堤体強化工事(2008.01.10) 堤体強化工事(2008.03.23)
堤体強化工事(2008.07.20)
多摩湖第1取水塔(奥は第2取水塔)     工事中の堰堤(2005.08.14)

 

9−5 村山下貯水池インフォメーションセンター

平成18(2006)年1月18日、「村山下貯水池インフォメーションセンター」がオープンするとともに、村山下貯水池の「見晴台」が開設されました。

インフォメーションセンターは、東京都水道局西部建設事務所監督員詰所の建物内に設けられています。村山下貯水池のジオラマ、堤体強化工事の映像コーナー(25分)、村山貯水池建設当時の写真コーナーなどがあり、多摩湖(村山貯水池)を理解するのにたいへん役立ちます。堤体工事期間中のみ設けられている施設で、より実態に即したわかりやすい名称「村山下貯水池工事インフォメーションセンター」にオープン後まもなく改められました。

堰堤わきに設けられた見晴台(インフォメーションセンターから徒歩3分くらい)からは、多摩湖と堤体強化工事の様子を見学することができます。なお見晴台は、堤体強化工事がほぼ終了し堤体の周辺整備工事を行うため、平成20年9月1日に閉鎖されました。

また、村山下貯水池工事インフォメーションセンターも、堤体強化工事が完成したことに伴い、平成21年4月30日をもって終了しました。

住所:東大和市多摩湖4-689(東京都水道局旧狭山研修所)
電話:042-590-0705
公開時間:9:30〜16:30
駐車場:なし

 

インフォメーションセンターと看板 インフォメーションセンター内
見晴台 見晴台から見た多摩湖
母なる湖 多摩湖 (松田茂氏作)
 

 

 

9−6 堤体強化工事完成式

地震時におけるより高い安全性を確保するため、平成15年から6年間に渡り、最新技術を取り入れた堤体の耐震強化工事を行ってきましたが、平成21年3月末に堤体強化工事が完成し、村山下貯水池は新しく生まれ変わりました。その完成式が次のとおり挙行されました。

当日は晴天に恵まれ、サクラも咲き始め、絶好の式典日和になりました。式典は関係者と地元の有力者のみで行われ、一般の人は余水吐き一号橋の手前での見学となりました。平日にもかかわらず、多摩湖の堤体強化工事の完成を待ちわびた大勢の人々で賑わいました。

○日時
平成21年4月3日(金曜日)14時30分〜15時30分

○会場
村山下貯水池堤体右岸広場

○次第
開会の挨拶(東岡水道局長)
副知事挨拶(菅原東京都副知事)
来賓の祝辞(厚生労働省、東京都公営企業委員会委員長)
工事説明、記念石碑除幕、テープカット、渡り初め など

○完成記念イベント(同時開催)
・日時:平成21年4月3日11時45分〜16時00分
・会場:村山下貯水池堤体周辺
・内容:工事のパネル展示、東京水配布、ステージイベント など

堤体強化工事完成式 式場入口 堤体強化工事完成記念イベント
完成式 式場(テント内) 記念碑除幕
完成式のくす玉 渡り初め

 

 

  

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